「気候変動は金のかかるでっち上げ」──。米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏はこう公言する。選挙運動の間も「パリ協定」の発効で世界が温暖化防止へと歩みを進めようとするなか、オバマ政権の温暖化対策と真逆の方針をぶち上げてきた。米国の温暖化対策の行方を、国連交渉で交渉官を務めてきた東京大学公共政策大学院・有馬純教授に聞いた。 トランプ氏が米大統領選を勝ち抜きました。彼の温暖化対策に関する考えは、どのようなものでしょうか。 有馬氏(以下、敬称略):トランプ氏は過去に、「地球温暖化は、中国が米国の競争力を削ぐために作りあげた」であるとか、「我が国はまだ、地球温暖化という“でっち上げ”に巨額の資金を投じているのか?」といった投稿をツイッターに投稿をしています。オバマ政権下で米国に導入された温暖化政策は、大きな転換を余儀なくされそうです。 米国を建て直し、競争力強化へ火力発電に回帰 オバマ政権は、