「麻布十番温泉」施設老朽化で廃業 東京・六本木にほど近い天然温泉施設「麻布十番温泉」(東京都港区)が、老朽化などを理由に今月いっぱいで廃業、約60年の歴史に幕を下ろす。大都会のど真ん中にありながら下町情緒を残す昔ながらの温泉場とあって、テレビ番組のロケに使用されたり、著名人がふらりと立ち寄る“名物スポット”。長年のファンからは別れを惜しむ声が上がっている。 1949年に開業した麻布十番温泉。同所で営業していた銭湯が空襲で被害を受け、土地と焼け残った煙突を現経営者の平岡久枝さんの父親が買い取って始めたという。 戦後の水不足に困り、井戸を掘ろうとしたら、偶然にも温泉がわき出した。地下500メートルからわく湯はコーラのような茶褐色で、やけどや神経痛に対する効能で知られる。1階と3階に浴場があり、3階には200人以上を収容できる45畳の大広間も備える。 開業当初は1日100人以上の客が訪れてい