輝かしい雰囲気に囲まれた彼女はしゃべるときも気楽そうだ。彼は彼女がアルジェリアの内戦を逃れてきたと言ったように感じ、もう一度今の言葉を繰り返してほしいと言いたくなる。しかし彼は慌てて、彼女に人生哲学を言うように促す。 「人生は哲学で語るには素晴らしすぎる」と彼女は皆に言う。 子どものとき、テレビアニメ「世界名作劇場」で『ポリアンナ物語』を観ていた。 どういう物語かというと、「世界名作劇場」の常道どおり、幼い少女ポリアンナは両親に先立たれて孤児となり、叔母のもとに引き取られるが、それ以後も常道どおり、次々と苦難に見舞われる。けれども、美しい心を持つポリアンナはけっして環境や運命を呪ったりせず、どんな不幸のなかでも「よかった探し」をして、周囲のひとびとの心に感銘を与える……というものだった。 同じく幼い少女であった私は、この「よかった探し」がとにかく嫌で仕方なかった。 「よかった」なんてあるわ
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