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ブックマーク / dokusho-note.hatenablog.com (5)

  • 自分の肉親について文章を書くということ レイモンド・カーヴァー「父の肖像」(『ファイアズ(炎)』)、村上春樹『猫を棄てる』 - 快適読書生活  

    自分の肉親について説得力のある文章を書くというのは決して簡単なことではない。結局のところ、文章の力によってどこまでその人物を相対化できるか、そしてその相対化された像のなかにどれだけどこまで自分の感情を編み込めるか、という微妙な勝負になる 村上春樹はレイモンド・カーヴァー『ファイアズ(炎)』の訳者あとがきで、カーヴァーによるエッセイ「父の肖像」について、こう書いている。そして今回、自らの父親を題材にした、『を棄てる 父親について語るとき』というエッセイを発表した。 ファイアズ(炎) (村上春樹翻訳ライブラリー) 作者:レイモンド カーヴァー 発売日: 2007/05/01 メディア: 新書 カーヴァーの「父の肖像」は、上記の引用に続けて、「見事なばかりの説得力を持っている」と村上春樹が書いているように、父親がどういう人物であったのか、そして私はそんな父親をどう見つめていたのがよくわかるエッ

    自分の肉親について文章を書くということ レイモンド・カーヴァー「父の肖像」(『ファイアズ(炎)』)、村上春樹『猫を棄てる』 - 快適読書生活  
    steam-punk
    steam-punk 2020/05/04
    内田樹「もういちど村上春樹に御用心」でも父親の件を解説してましたね。
  • だいじょうぶ?と聞かれたら、どう答える? 『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(大前粟生 著) - 快適読書生活  

    麦戸ちゃんはさいきん学校にこない。麦戸ちゃんの家は大学のすぐ近くにあるから、七森は二限終わりに寄ってみようかなと思ったけど、きのう彼女ができたばかりだったし、共通の友だちでも女の子と家で会うのを白城は嫌がるかもしれないと(まだそういうことを確認する段階にもなっていないけれど)思って麦戸ちゃんにはラインだけした。 だいじょうぶ? 明日には緊急事態宣言が発令されるらしい。(4月6日時点) まさかこんな事態が訪れるなんて思ってもみなかった。こんなディストピアSFのような世界が現実になるなんて。 何が怖いかって、知らぬ間に自分も感染者になって、他人にうつしてしまっているのではないかという思いが、常に頭から離れないことだ。 被害者が加害者になる。現実社会ではめずらしいことではない。 いじめパワハラをされた人が、別の相手にいじめパワハラを行ったり、虐待を受けて育った人が、大人になると子どもに虐待を

    だいじょうぶ?と聞かれたら、どう答える? 『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(大前粟生 著) - 快適読書生活  
  • 幸福って何だっけ? 『幸福の遺伝子』(リチャード・パワーズ著  木原善彦訳) - 快適読書生活  

    輝かしい雰囲気に囲まれた彼女はしゃべるときも気楽そうだ。彼は彼女がアルジェリアの内戦を逃れてきたと言ったように感じ、もう一度今の言葉を繰り返してほしいと言いたくなる。しかし彼は慌てて、彼女に人生哲学を言うように促す。 「人生は哲学で語るには素晴らしすぎる」と彼女は皆に言う。 子どものとき、テレビアニメ「世界名作劇場」で『ポリアンナ物語』を観ていた。 どういう物語かというと、「世界名作劇場」の常道どおり、幼い少女ポリアンナは両親に先立たれて孤児となり、叔母のもとに引き取られるが、それ以後も常道どおり、次々と苦難に見舞われる。けれども、美しい心を持つポリアンナはけっして環境や運命を呪ったりせず、どんな不幸のなかでも「よかった探し」をして、周囲のひとびとの心に感銘を与える……というものだった。 同じく幼い少女であった私は、この「よかった探し」がとにかく嫌で仕方なかった。 「よかった」なんてあるわ

    幸福って何だっけ? 『幸福の遺伝子』(リチャード・パワーズ著  木原善彦訳) - 快適読書生活  
  • 「私自身」であるために戦った女たち 『女たちのテロル』(ブレイディみかこ 著) - 快適読書生活  

    「僕はつまらんものです。僕はただ、死にきれずに生きているようなものです」 朴は岩のようにひんやりした、しかし厚みのある声で言った。 私たちは同類だと文子は思った。 死にきれなかった犬が二匹。我ら、犬ころズ。相手に不足はない。 こうして二人のアナキストの、短い、命をかけた闘争の道行きがはじまったのである。 いまからおよそ百年前の二十世紀初頭に、日、イギリス、アイルランドで命をかけて闘った三人の女たちがいた。 ブレイディみかこ『女たちのテロル』は、日のアナキスト金子文子、イギリスのサフラジェット(女性参政権運動家)エミリー・デイヴィソン、イギリスの圧政下にあったアイルランドの独立を求めて闘った凄腕スナイパー、マーガレット・スキニダーの生涯を辿ったである。 女たちのテロル 作者: ブレイディみかこ 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/05/31 メディア: 単行(ソフトカバ

    「私自身」であるために戦った女たち 『女たちのテロル』(ブレイディみかこ 著) - 快適読書生活  
  • ナチス政権内部の少年たちを描いた、ジョン・ボイン『縞模様のパジャマの少年』(千葉茂樹 訳)『ヒトラーと暮らした少年』(原田勝 訳) - 快適読書生活  

    花の咲きほこる庭や銘板のついたベンチから五、六メートルほど先で、すべてががらりと変わってしまう。そこには巨大な金網のフェンスがあった。家と平行に張りめぐらされたフェンスのてっぺんはむこう側にむかって折れていて、目の届くかぎり左右へつづいている。家の屋根よりも高いほどのフェンスで、電信柱のように太くて高い木の柱が点々とあってささえている。フェンスのてっぺんには、ごちゃごちゃとからまりあった有刺鉄線が山のように積まれていて、グレーテルは見ているだけで体中に鋭いとげがささるような痛みを感じた。 ジョン・ボインの『縞模様のパジャマの少年』と『ヒトラーと暮らした少年』を読みました。 先に読んだのは『ヒトラーと暮らした少年』ですが、第二次世界大戦下のナチス政権を描いた連作なので(話の内容はまったく別ですが)、発表順にあわせて『縞模様のパジャマの少年』から感想を書いていきます。 縞模様のパジャマの少年

    ナチス政権内部の少年たちを描いた、ジョン・ボイン『縞模様のパジャマの少年』(千葉茂樹 訳)『ヒトラーと暮らした少年』(原田勝 訳) - 快適読書生活  
    steam-punk
    steam-punk 2019/08/31
    未読ですが。全体主義に傾倒してしまう市民とは、子供のように無知なのと同じだ、という示唆性がある気がしました。読んでみます。
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