草に覆われ水路のようになった湖面を、貨物船や小舟が行き交っていた=チャド湖、武田剛撮影1972年12月のチャド湖の衛星写真=国連環境計画(UNEP)提供2007年2月のチャド湖の衛星写真=国連環境計画(UNEP)提供 これが湖なのか。はるかかなたまでアシのような植物がびっしりと埋め尽くす。水面を見ることができない。琵琶湖の40倍の広さがあった湖は意外な姿をさらしていた。 アフリカ中部のチャド湖。サハラ砂漠の南端にある。最古の猿人の化石がかつての湖畔で見つかり「人類発祥の地」という説もある湖は、この40年で水面が20分の1に減った。漁業、農業、そして住民の生活を支える豊饒(ほうじょう)の源が、縮小を続ける。今世紀中に消えてしまう運命だと、専門家の警告も出ている。 湖の北側にある要所ボル市。船着き場の先に、一面に広がる水草を割るように幅3メートル足らずの水路が延びる。 木製のボートに乗