2003年に「振り込め詐欺」が確認されてから10年が経過し、警察庁によると、被害総額は1858億円に上った。 この間、銀行口座や携帯電話の不正譲渡禁止などの対策が相次いで打ち出された一方で、ここ数年はカネを振り込ませず、直接受け取る手口が広がっており、被害が後を絶たない。警視庁は近く振り込め詐欺の名称を変更し、高齢者らに改めて注意を呼びかける。 「電車に小切手が入ったカバンを忘れた。お金を貸してほしい」。東京都世田谷区の女性(74)は28日朝、「おれだよ、おれ」と焦った声でかかった電話を、離れて暮らす長男からと思い込み、銀行で1390万円を引き出すと、近くの駅で同僚を名乗る男に手渡した。その後、長男に問い合わせて詐欺だと気付いた。 振り込め詐欺の一形態である「おれおれ詐欺」の被害額は昨年、約111億円に上ったが、このうち6割は、口座への振り込みではなく、直接手渡しによる被害だった。同庁幹部