教育委員会―何が問題か [著]新藤宗幸 教育委員会とその事務局を区別して言葉を使っている人がどれだけいるだろう。メディアでも、本来サポートする側の事務局をそのまま教育委員会と呼ぶ場合が多い。教育行政の核でありながら、我々はその仕組みと実情に無関心ではないかと考えていたところ、本書に出会った。 戦後「教育行政の一般行政からの分離・独立」のために制度化され、レイマンコントロール(民衆統制)を旨とするが、実際には「タテ行政系列」に組み込まれている現実。議会の承認を要する教育委員は、根回しにより事実上、行政側の思惑通りに決まる。公開が原則の委員会の前に「研究会」などと称し、事務局側の意向を説明する機会が設けられる。事務局はエリート教員の「インナーサークル」であり、トップに立つ教育長は「全国都道府県教育長協議会」などを通じて文科官僚と定期的な会合を持つ。まさに“「民衆統制」を「隠れ蓑(みの)」とした