この数日、三島由紀夫とモッズについて考えていた。 きっかけはツイッターで知り合った方が褒めていた三島由紀夫の「女方」という短編。新春興行に出演を控えた歌舞伎俳優と劇場プロデューサー、そしてその興行に外部から招かれた新劇の演出家の三角関係が、歳末の銀座・新橋界隈の賑やかしさをよそに埋め火のように展開するという筋。なんでもこの歌舞伎役者は六世歌右衛門をモデルにしたとも言われており、実在の人物や場所を想像しながら読んでいくというのはなかなかに楽しいものだった。 その「女方」が収録された短篇集『花ざかりの森・憂国』に併録された「月」(1963年)という作品が、思わずモッズ文化を連想させるような内容だったのだ。舞台は60年代初頭の東京、ジャズ喫茶に集うフーテン族の若者たちが、青山にある教会跡の廃墟に潜り込んでハイミナールに耽ったりツイストを踊り狂ったりする様をスケッチした短編なんだけど、作中でラジオ