紹介 日本各地には、昔から伝えられてきている民謡と踊り、楽器の演奏、芝居などの芸能がある。民謡は、労働や進行、娯楽といった民衆の生活の中から生まれ、口伝えによって歌い継がれてきた音楽である。しかし、実際に田植えの作業をしながら田植歌を歌った、あるいは、田んぼで田植歌を聴いたことがあるという話は、21世紀の日本ではすでに失われた昔の話となっており、もはや民謡自体が「謎の何か」になりつつある。 本書は、「①民謡とコミュニティ――平成時代のフィールドでみえたもの」「②民謡調査とメディアの萌芽期――大正時代から昭和時代前期」「③民謡の魅力――伝播論」「④民謡の核としての仕事歌――臼歌を例に」「⑤民謡のイメージ形成――明治時代」の5つのトピックスを軸に、江戸時代後期から平成時代にかけての民謡と民謡を取り巻く動向を取り上げながら、その謎を明らかにしていく。 目次 はじめに――民謡とは何か 第1章 最期