社長のメッセージが響かない 東芝が米国の原子力事業で7125億円にのぼる損失を明らかにした2月14日、予定より2時間以上遅れて記者会見を開く前に、綱川智社長は社員に向けてメッセージを読み上げていた。 社内に配布された速記録にしてざっとA4版2枚。原発事業で巨額の損失に陥った事実関係を述べたうえで、乗り越えなければならない2つの山として「期末の株主資本や純資産(の維持)」と「資本市場への復帰」を上げた。 そして締めくくりにこう述べた。 「東芝が築いてきた技術、品質、そしてお客様からの信頼は、(中略)皆さん個々人の情熱から生まれてきたものだと思います。東芝をつくっているのはそういう皆さん一人ひとりです。 皆さんには大変なご苦労をおかけしますが、今、心折れることなく、どの職場にあっても、商品・サービスに愛情と責任を持ち続けていただきたい」 綱川社長の必死の呼びかけも多くの社員には虚しく響いた。