MEIKOとミクが彼を“クリエイター”にした。投稿した動画を見た編集者やプロデューサーから声がかかり、音楽やイラスト、文章の仕事がやってきた。mixiにはファンコミュニティーができ、書き込めば「本人降臨!」と盛り上がるし、オフ会に行けばファンが寄ってくる。 自分より優秀な人はゴマンといると思っているから、この人気が信じられない。イベント会場で自分の曲がかかると恥ずかしいし、仕事が来ると「もっとうまい人もいるのに俺でいいのかな、本気でやっている人に申し訳ないな」と戸惑う。常に冷めた視点で自分自身を見てもいる。「ワンカップP(わP)という別の人がちやほやされているみたいで。『へー、わPさん、すごいね』って」 ミクブームは発売から半年もすれば沈静化するだろう。それとともに自分も忘れられるだろう。そうも考えていた。だが発売から1年近く経った今、まだブームは続いている。ワンカップPも、ちやほやされ続