「子どもの頃は勉強が面白くなく、好きなことにしか集中できなかった」と語る藤田。今、藤田がデザインする「筑紫書体」は、明朝体、ゴシック体、丸ゴシック体という書体ジャンルを超えて、まさに藤田ワールドと言えるようなラインナップを構成しています。レタリングで自分が認められたと感じた学生時代、そしてファッションと石井明朝に心を奪われた写研時代を経て現在へ。さらに筑紫書体のデザインにおけるこだわりや思いについて聞きました。 石井明朝は情感が濃すぎる、本蘭明朝は都会的!? デザイン科のある高校に入って、自分よりセンスのある人、絵が上手い人がたくさんいるんだ、と落ち込んでいたとき、初めて「あれ? 自分もけっこうイケルじゃん」と思ったのがレタリングの授業でした。それを見ていた教科の先生が将来の見えない僕に「写研に就職したら?」とアドバイスをくれて、そのまま試験などを経て就職したのが昭和50年。僕が高校を卒業