那覇からレンタカーを借りて北東に向かい、3時間走った。海岸を離れて山道をうねうね進むと海と山、両方の匂いがする。道の両側はブロッコリーのようなこんもりとした樹木で覆われている。 「やんばる」と地元で呼ばれる亜熱帯のジャングルだった。この原生林に広がる「北部米軍演習場」は、密林での行軍、渡河や兵員降下を訓練する「ジャングル戦訓練センター」(Jungle Warfare Training Center)である。七八平方キロメートル面積は、山手線の内側(六三平方キロ)よりまだ広い。 この、立ち入れない原生林と海岸線で囲まれた場所に「高江」という人口百六十人の小さな集落がある。集落を見下ろす山林を切り開いて、直径75メートルのヘリ発着場が六カ所建設されようとしている。既存の発着場で撮影されたビデオを見ると、プロペラ二機の巨大なCH-46が離着陸し、地上では会話もできない。パイナップル畑を海風が渡り
上関原発 反対運動へ 中国電力が提訴した SLAPP訴訟 私は原発否定論者ではない。だが「上関原発」の予定地の浜(山口県熊毛郡上関町)に立った時には「何で選りによってこんな場所に」とため息が出た。 風と波が刻んだ渚は、山水画のように美しい。透明な海水の中を魚の群れがきらきらしているのが見える。コンビナートで埋め尽くされていると思っていた瀬戸内海に、こんなに美しい浜が残っていたとは知らなかった。 山陽本線の「柳井港」から七十人乗りの定期船に一時間半乗って、原発予定地の対岸にある離島「祝島」に渡った。人口約五百人。都心の中型マンション一軒分くらいの人数だ。島に信号機はない。コンビニもない。自動販売機は二台。しかも一台は壊れている。午後五時着の船から人が降り、港から消えると、ぱたりと静かになった。 「げんぱつ、はんたーい」「はんたあーい」 月曜の夕方だった。港のすぐそばの街路を、お年寄り、こども
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