ぼくは自分の手をみると、時たまこの詩が頭に浮かぶ。 //////----------- はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る 石川啄木 --------------///// 自分の手。練習帰りの電車の中で自分の手をまじまじと見ることがある。 いったい何度この手を見つめてきただろうか。 この手でたくさんミットやサンドバック、そして人様を殴り、 ともにいろんな種類の感情を共有してきた。 トレーニングをして傷や豆ができたりなんかは日常である。 拳の皮は何度むけたか知らない。 相手の骨に拳ががつっとあたって大きく腫れたこともある。 骨ばってごつごつして、皮は厚くなり、 生傷だらけでお世辞にもきれいな手とはいえない僕のこの手。 強くなる。そう思って日々練習して いったいどれくらい強くなれたかと自問もする。 日々進む距離は短く、ともすれば前進どころか空回りして後退すらしかねな