「なぜ父は死を選んだのだろうか」 それは若い頃の私の頭を占める大きな疑問だった。 大阪に単身赴任していた父と最後に会ったとき、サインはあった。父の足がパンパンにむくんでいたのだ。 「わぁ、ゾウみたいだよ! それどうしたの、それ。病院に行ったほうがいいよ!」と私は言ったが、父は「えっ、そう?」と、とぼけるばかり。 それから何日か経って、私が通っている漢方の先生に父の足のことについて話してみたのだが、先生は「すぐ病院に行ったほうがいい」と言ったのだった。 私は大阪にいる父に電話でその旨を伝えたのだが、その数日後には父は他界した。 事務所で倒れて死んでいるのを、警察が発見してくれたのだった。 まだ若い私には、あのむくんだ足が死に至るほどだとは露ほども思っていなかった。 大阪の警察に駆けつけて知ったのは、父は自らの病気を承知していたのだということ。病状を家族にも会社にも伏せて単身赴任の地へ向かった
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