四月十五日午後三時都内某所、ふきすさぶ風がまったく似合わない私はカフェに避難していた。そこで。 「私、自分でいうのもなんだけど美人だと思うー」「ふーん」 そんなやりとりから、隣にいた二人組の会話が気になりはじめた。アイスコーヒーのストローをくわえながら、目を合わさぬよう様子をうかがうと高校の制服が向かい合って座っていた。足下に高校のロゴがプリントされたバッグ。足の付け根まで見えそうなミニスカート。 その、足を広げたる角度、べらべらよくしゃべる方は八十五度、もう一方の寡黙な方も八十四度くらい、たいていのミニスカ女性のそれはほとんど鋭角であることを鑑みれば、大変に下品。デンジャラスな匂い。大言を吐く根拠たる顔面は気になるが、やめ。やめ。こういう女子高生からはよくわからない仕打ちをされるもんよ。 「私さー美人はベストセラーで、ブスはロングセラーだと思うー」「へー。賞味期限短いんだね」「そーなの!
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