今年5月、ミネソタ州で白人警官の暴行で黒人男性が死亡した事件以降、全米規模で広まった抗議運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」。これを受けて、ベストセラー書籍の大半は人種関連の本で占められた。 『White Fragility』は、白人の女性社会学者ロビン・ディアンジェロが著し、2018年6月に出版。主に白人の読者を対象に、白人による黒人差別の構造の解明に焦点が当てられている。 表題の「白人の脆弱さ」とは、11年に著者が作り出した専門用語。白人が「最小限の人種的ストレスを受けただけで耐えられなくなり、様々な自己防御的な行動をとる状態」を表す。例えば、ベージュのクレヨンを「肌色」と呼ぶのは不適切ではないかといった簡単な質問にも、白人は動揺し、早口で弁明する、沈黙する、話題から逃げるなどの反応を示すという。 白人は政治や司法、教育など広範な分野で、組織的に白人の特権を守る社会構造