友川カズキという人物を知っているだろうか。秋田県出身。詩人でありミュージシャンであり画家という、様々な才能を持ち比類なき世界観で根強いファンを持つ。 今年2月から公開されている主演作、ドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』では、友川氏の最大の関心事である競輪に狂う日々が描かれ、話題を集めている。 70歳になる現在も川崎の小さなアパートに住み、スマートフォンはおろか携帯電話もパソコンも持たず、毎日のように競輪に勤しむ。そんな無頼な生活を送る彼の半生に迫ってみた。 さまざまな表現活動を行う、友川氏が初めて芸術を意識したのは中学生の時だった。 「はじまりは中原中也です。秋田の田舎で育って、本を読む人なんて周りにいなかった。たまたま読んだ『骨』という詩の『ホラホラ、これが僕の骨だ』ってのにガーンと衝撃を受けました。 中学生でバカだったから意味は全然わからなかった。素養があれば理解もできた