スポーツ競技で、男性と女性、どちらの性にも共通する身体的特徴を持つ人は、どの「枠」で戦うべきだろうか? 男性と女性の境目が必ずしもすっぱりと割り切れない生命科学の現実に翻弄(ほんろう)される、何人もの選手たちがいる。リオ五輪が残した課題の一つとして、性の問題を取り上げてみたい。(ジャーナリスト・小林恭子/WEBRONZA筆者) 【写真】疾走する南アフリカ・セメンヤ選手 圧倒的走りでリオ五輪金メダルに 8月20日、南アフリカ共和国の陸上選手キャスター・セメンヤは女子800メートルを1分55秒28で走りきり、金メダルを獲得した。 この時、6位に終わったのが英国を代表したリンジー・シャープ選手だ。競技終了後、シャープはBBCのインタビューの中で、涙ながらにこう述べた。 男女それぞれの性的特徴を持つ「両性具有」の選手たちと戦うのは「本当につらかった」。 シャープが、セメンヤ選手や、2位のブルン