脳が短期の記憶をとどめる部分では、神経細胞を次々に作り出すことで、恐怖などの記憶を消し去っていることを、富山大学の井ノ口馨教授らが動物実験で突き止めた。 心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの治療につながる成果だ。13日発行の米科学誌「セル」に発表する。 記憶は、脳の「海馬」と呼ばれる部分に保存された後、整理され、マウスは1か月、人間は半年〜3年で大脳皮質へ移り、長期の記憶になるとわかっているが、詳しい仕組みは不明だった。 井ノ口教授らは、海馬で神経細胞の新生が盛んなマウスと、そうでないマウスを実験に用い、恐怖を感じる程度の電気ショックを加え、記憶を調べた。その結果、細胞新生が少ないと恐怖の記憶が海馬にとどまり、細胞新生が盛んだと、移りやすいことがわかった。 恐怖などの記憶がいつまでも海馬にとどまっていると、何かにつけて思い出しやすく、PTSDの症状が長引くと考えられる。 井ノ口教授は「