口腔内細菌が虫歯や歯周病の原因であることは知られている。近年、その口腔内細菌が腸に移行して腸内細菌叢を形成し、さらに特定の口腔内細菌は大腸がん発症と進行にも関与しているのが大腸がん患者と健常者の唾液と便から採取した細菌の遺伝子配列分析で証明された。近い将来、唾液での口腔内細菌検査で、大腸がんのリスクがわかる時代が来るかもしれない。 母親のお腹にいる胎児の口の中には、ほとんど細菌はおらず、分娩や授乳で子供の口に口腔内細菌が棲みつく。以降も離乳食や大人との接触などにより、生後6か月目ごろには口腔内細菌が劇的に変化し、増加する。その細菌は驚くほど両親のものに酷似していることが知られている。 細菌は300~700種といわれ、その数はよく歯を磨く人で1000~2000億個、あまり歯を磨かない人では4000~6000億個と推計される。その口腔内細菌の一部が虫歯や歯周病の原因となるが、それ以外に全身の疾