〇六年に発売、その後入手が困難になり、古本価格が高騰していた『ブラスト公論』が、増補して復活。ようやく読めるようになりました。五人の若者たちが、さまざまなテーマについてひたすら議論を戦わせるという内容のおもしろさは変わらずですが、オリジナル版の読者にとっても、この「増補された部分」がおもってもみない展開で、時が流れれば人はこのように変化していくのだな……と感慨にふけってしまいました*1。既読の方にもすすめられる、たのしく読める一冊で、ほんとうによかったです。 「いま、このタイミングでしか言えないこと」というのが、誰にでもきっとある。ひとつの事柄について、もっとも熱をこめて、真剣かつ切実に考えることのできる「特定の時期」が存在するような気がするのだ。雑誌の連載があった十年前、五人の語り手はおよそ二十代後半といったところ。この本で語られる、自意識、恋愛、ファッション、人間関係、他人の視線といっ