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私がヒロに出会ったのは3年前の寒い冬の日だった。あの頃私は世田谷の大学教授のおうちに飼われていて、毎日窓から外を眺めては、翼が欲しい、自由になりたい、ってずっと思ってた。でも飛び出す勇気がなかった。冬の寒さがどんなものだか知らなくて、生まれたての子猫のようにおびえてばかりいた。パパはあたしをとても可愛がってくれたけど、外に出るのを決して許してはくれなかった。そんなある日アイツが家に来た。白いスピッツ。アイツはいつでもキャンキャン鳴いて、しっぽをぶんぶん振ってすぐに私に代わって家族の人気者になってしまった。私のトイレは玄関から勝手口に移された。エサ箱はダイニングから台所、冷蔵庫の脇。ブンブンうなるモーターの音を聞きながらひとりで冷えた猫マンマ食べていると淋しくて涙がとまらなかった。この世界には私しかいない気がして、自分のことが大嫌いになった。つらくって体をなめてばかりで、しょっちゅう毛玉をの
「ついにレコードの時代が終わる」と言うと、「え?レコードなんてとっくの昔に終わってただろ?」と思う方も多いと思います。たしかに90年代に入った時点で新譜のレコードは市場からほとんど姿を消してしまったのですが、ハウスやヒップホップなどのクラブミュージックの世界では、今もレコードが主流だったのです。 CDが出てからも、クラブミュージックはレコードが主流だった 結局、CDが出て20年以上経っても、ハウスやヒップホップではCDが主流となることはありませんでした。その理由を列挙すると、 (1)CDはノイズが少ないが音が細い。 (2)CDはすり減らないって言うけど、レコードをすり減るまで聴くことなんかないので問題なし。むしろCDは「半永久的に聞ける」と言っていたのに錆びた。 (3)レコードは直感的に操作できる。途中の間奏から聞きたいと思った場合、適当な箇所に針を落とせばいいだけ。2分先も5分前も一瞬で
昭和30年代が好きだ。 なぜならそこにあるのは混沌と暗黒の世界。右翼はいつ起きるかわからない革命に怯えて政治家や出版社を襲い、左翼は大勢で道端や国会や大学で暴れまくった。長嶋が天皇の前でホームランを打っていた頃に、熊本の漁民は有機水銀たっぷりの魚を食べて苦悶していた。正義のヒーロー力道山はドラッグと酒にトチ狂い、目の前にあるものすべてをぶん殴った。 高度成長期の東京はオリンピックに向けて大工事。騒音と埃と神風トラック、神風タクシーが行きかうやかましい街だった。増える車の台数に道がおっつかず、そこいらで大渋滞が起きていた。環境保護という概念は確立されてはいないために、煙突からは有害な黒い煙がもくもくと吐かれ、東京湾には得体の知れない物質の混じった廃液が垂れ流し。 輸送に明け暮れる国鉄は鶴見と三河島と宇和島で大事故を起こし、100人単位で乗客をあの世に送った。戦争の苦しみを知っていた規律正しい
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