マツダ車ユーザーの間に、ある“定説”が広まっていた。買い替えを検討したとき、下取り価格が思ったよりも安くて戸惑うというのだ。自動車販売では、下取り価格が乗り換え時の実質的な値引きや頭金となり、「高値で売れそう」という見込みが新車販売の後押しにもなる。メーカーの人気やブランド力のバロメーターとなる中古価格を上げるため、マツダはいかなる挑戦をしたか。モータージャーナリストの御堀直嗣氏が解説する。 かつて、「マツダ地獄」という物騒な言葉があった。 それは、マツダ車を購入すると数年後、下取りに出す際に査定価格が他社のクルマと比べて低く、買い替えの元手となる資金が限られるため、結局、高く査定してくれるマツダの販売店で再び新車を買うことになり、その“負の連鎖”から抜け出せなくなることを指していた。苦々しい思いをしながらも、マツダ社員もこの実情を承知していた。 背景の一つは、多くの消費者の傾向である、大
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