むかしむかしあるところに農民を苦しめてばかりいる悪い殿様がおりました。殿様はある時から天狗の扇子を手に入れ、その扇子の不思議な力を悪政に利用するようになりました。不思議な力とは、その扇子で風を起こすとなんと太陽を動かすことができるのです。沈もうとする太陽を扇子で扇いでやるとお空のてっぺんまで戻してやれることに気づいた殿様は、さっそく日が沈んでいない明るいうちは当然働いていなくてはならないというお触れを出し、農民を寝ずに働かせ続けるようになったのです。いつまで経っても日が暮れず延々働き続けなくてはならない農民たちは忽ちに疲弊していきます。そんな国の有様を見かねて立ち上がったのが河童たちです。事情を理解した河童の一群はさっそく自分らの髪を結って繋ぎ合わせ一本の綱にしてそいつを太陽に括りつけました。そうして河童たちは扇子に煽られて空に戻ろうとする太陽をみんなで引っ張り引き摺り下ろしすっかり辺りを