東北関東大震災下で働く医療関係者の皆様へ――阪神大震災のとき精神科医は何を考え、どのように行動したか 本文全文 「災害がほんとうに襲ったとき」は中井久夫編『1995年1月・神戸 「阪神大震災」下の精神科医たち』(1995年3月刊・みすず書房)に収録されています。本稿の電子データの公開および無償頒布につきましては、著者の中井久夫氏とみすず書房の許諾を得ております。 「災害がほんとうに襲った時」 中井久夫 ●パート1 電話は多くの生き残った人に「自分は孤独ではない We are not alone 」という感じを与える効果があったと私は思う 1995年1月17日午前5時46分から 最初の一撃は神の振ったサイコロであった。多くの死は最初の5秒間で起こった圧死だという。行政の対応が遅れた理由は簡単である。幹部は、多くは郊外の自宅にいて眠っていた。つまり一私人であった。私もそうであった。昼間