世界中の政府や大企業を敵に回し、ネット空間を舞台にした情報戦争を仕掛ける「ウィキリークス」。ジュリアン・アサンジ氏率いるこの非政府組織が、前代未聞の内部告発サイトを展開する狙いは何か。誰がどのように情報を漏らしているのか。なぜ、潰されないのか。気鋭の国際政治アナリストが空前の情報戦争を読み解く。 菅原 出/国際政治アナリスト オバマは言う。アフガニスタン戦争は「正しい戦争」 2010年11月28日にウィキリークスが公開を始めた米国務省の秘密公電は、アフガニスタン戦争をめぐるオバマ政権内部の迷走ぶりを、リアルに伝えている。 もともとバラク・オバマは、大統領選挙キャンペーンの時から「アフガニスタン戦争を外交・安全保障政策の最優先課題にすべきだ」と主張していた政治家の1人だった。 イラク戦争に反対した数少ない議員の1人として、オバマ氏は「イラク戦争は間違い、アフガニスタン戦争は正しい」と位置づけ