大阪市立総合医療センターで、患者の知らないうちに凍結精子の保存が打ち切られていた。医師や看護師たちは廃棄前に何度も患者の意思を確かめようとしたが、引き継ぎや情報共有の不十分さから、いつの間にか忘れ去られた。複数の関係者の証言から検証する。 同病院が保存していたのは13人分の凍結精子。いずれも病気の治療などで精子をつくる機能の低下が懸念される患者だった。管理していた婦人科の元副部長によると、2012年4月に別の病院に異動することになり、翌13年3月末で管理を終えることにした。 13人のうち6人は泌尿器科の患者で、主治医の名前を知っていたので、主治医を通じて廃棄の了承を得た。未確認の7人については、看護師に「1年をめどに患者の意向を確認するよう、しかるべき部署に伝えて対応してほしい」と口頭で伝えたという。 同病院によると、看護師はこのとき「ドクター間で対応してください」と返答し、手続きはとらな