9・11から10年 米国になお続く苦渋の時代(9月9日付・読売社説) 2001年9月11日の米同時テロで崩落したニューヨークの世界貿易センタービルの跡地で、復興のツチ音が響く。 追悼記念公園の隣に、完成すれば全米一となる高層ビルが威容を見せている。 悲劇の記憶を新たにしつつ、未来への歩みは止めていない。米国の力強さを感じさせる光景だ。 同時テロは、米国と世界に大きな衝撃を与えた。冷戦後、比類なき力を誇っていた唯一の超大国は、19人のテロリストが乗っ取った民間航空機で攻撃された。約3000人もの犠牲者を出した事件を忘れることはできない。 国際テロ組織アル・カーイダの奇襲に対し、ブッシュ前政権が、「対テロ戦争」で反撃を開始したのも無理はなかった。 あれから10年。アフガニスタンで始めた戦争はまだ続いている。長い追跡の末に同時テロの首謀者ビンラーディンは殺害されたが、テロ掃討の戦場はパキスタンへ