テレビでも、よく見る光景だ。 北京や上海、重慶や天津など、中国の主要 都市を始め、あらゆる地方都市でも、路上や公園など、街のいたるところに、 働きもせず一日中ぼんやりしている人々がいる。 公園で卓球、中国式将棋「象 棋(シャンチー)」、麻雀、トランプに明け暮れたり、仲間とひたすらしゃべった り、ビールでも飲みながら軒先でくつろいでいたりする。 加藤嘉一さんは当初、彼らの存在が不思議でならず、話を聞いてみると、「お 兄さん、たしかに俺達には金もない。大した仕事もない。でもな……俺達には 『時間』がある」と言った。 彼ら、加藤さんのいう「暇人」は、たとえ小さ くとも、自分の家を持つ、生れついての地元住民、地元から離れようとはせず、 移動の自由など求めないのだ。 それが都市に出稼ぎに来た農民工とは、まっ たく違う点だ。 「暇人」は、極力働こうとしない。 住むところがあり、着 るものにも頓着しない