「足立区のおじさんたちは、口は悪いけど目が優しいんだよね」 アニーさんはそう言って笑う。 「まず、このヤロ、バカヤロで始まるけれど、言っていることは正しかったりする。接客のマナーや態度についてよく怒られたけど、勉強になりましたよ」 足立区を拠点に、日本で働くこと25年。アニーさんはいま東武スカイツリーライン竹ノ塚駅のそばにあるフィリピンパブ「カリン」のママだ。 店はなんと、朝5時から営業している。 「タクシーの運転手さんたちから、夜勤が明ける朝方に店を開けてほしいって言われて」(アニーさん) 運転手だけでなく、やはり夜の仕事を終えた日本人のホステスやホストたちも飲みにくる。 夜が明ける頃になると、今度は年金暮らしの老人たちが訪れる。朝5時から11時までは、飲み放題・歌い放題で、さらに和定食がついて3時間2000円という破格の安さなのだ。 「あまりお金がなくても、ここに来れば