一條次郎『動物たちのまーまー』 耳を澄ませ。何かが聞こえる――。テノリネコが膨らむ音が。徘徊するネコビトたちの呟きが。貝殻プールのラッコの水音が。盗んだトウモロコシをゆでる熊のご機嫌な鼻歌が。そして、吸血鬼(バンパイア)の奏でる陽気なラグタイムピアノが……。混沌と不条理の中に、世界の裏側へと読者を誘う魅惑的な企みが潜む。デビュー作『レプリカたちの夜』で大ブレイクした鬼才による、異彩を放つ傑作オリジナル短篇集。 ーcontentsー ◇タイトルテーマについて ◇お気に入り紹介 ◇感想 ◇タイトルテーマについて タイトルにある「まーまー」という不思議な響きは、英語の擬音語であると冒頭にあった。 "mur・mur" (連続的な)かすかな音、(低い)ざわめき、(小川・木の葉・ハチなどの)さらさらいう音、ささやき、かすかな人声、不平のつぶやき、(聴診して聞こえる)心雑音 (英和辞典・和英辞典 - W