19日午前、桜が見ごろを迎えた岩手県一関市に、通信機器などを製造するNECの子会社、NECプラットフォームズ(東京)の保坂岳深(たけみ)社長の姿があった。市役所で勝部修市長に面会し、用件を切り出した。 「運営効率や今後の活用性の観点から考えた、苦渋の選択です」。告げたのは、2018年度末の一関事業所の閉鎖だった。 1970年から操業し、ルーターなどを生産。東北新幹線の一ノ関駅前にあり、地域のシンボル的存在だが、通信会社からの受注は細っていた。一時は約2千人いた従業員も、今は約260人。勝部市長は無念の表情で「お話は分かりました」と応じるしかなかった。「厳しいとは予想していたが、よもや撤退とは……」 従業員の一人は憤る。「数あ…