「このままずっとひとりなのかな。生きている意味が無くなったように感じていました」 9歳から30年近く続いた家族の介護が終わったあと、彼は、生きる意味を見失ったといいます。 それでも、彼はいま、失った時間、できなかった経験、味わったことのない楽しい思い出を、少しずつ取り戻そうとしています。 (NHKスペシャル「ヤングケアラー SOSなき若者の叫び」取材班/記者 大西咲) 9歳から続いた介護が終わった時、彼は38歳になっていました。 彼の名前はカズヤさん(仮名)といいます。今は43歳です。 心臓が悪く体調を崩しがちだった母親に代わり、小学3年生から高齢の祖母の介護と母親の世話をしていました。 カズヤさんは、母親と祖母の世話や介護に時間を割くため進学先に定時制を選びました。友だちと遊びたくても、寝たいときに寝たくても我慢しました。高校卒業後に始めた本屋のアルバイトも、母親が寝たきりになったので、