軍隊はその国を象徴する。自衛隊は軍隊ではない、と言う向きもあろうが、日本でたったひとつ軍事力を有する組織であることは間違いない。その唯一の実力組織がいま、静かに迷走している。 組織の進むべき方向を示せない。年功序列と、無意味で形骸化したしがらみに縛られる――。そんな自衛隊の姿は、そのまま日本社会の姿と重なる。全5回のシリーズとなる本稿では、現役の自衛隊幹部や米軍関係者への取材を通して、自衛隊が直面する根深い課題を浮き彫りにする。 「どっちつかずの状態になっている」 「災害支援というのは、自衛隊にとって『麻薬』のようなものなんですよ」 ある陸上自衛隊幹部はこう言ってため息をつく。「麻薬」とはいったい、どういう意味なのか。 内閣府による2017年度の世論調査では、自衛隊に対して「好印象を持っている」と答えた人が約9割にのぼった。また、自衛隊に期待する役割については「災害派遣」を挙げた人が約8割
![自衛隊の現役幹部、衝撃告白「災害支援隊になってゆく私たちの葛藤」(松岡 久蔵) @gendai_biz](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d7b5277dffb6421d8cebdc54ba372398f0e0557f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F9%2Fd%2F1200m%2Fimg_9d8979c4bf716f1596a88e0f8dc145d684967.jpg)