2021年7月15日、ミュージシャンの小山田圭吾氏が「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」開会式の作曲メンバーであることが発表されました。その後、氏の過去のインタビュー記事についてネットで「炎上」が発生。大手紙にも取り上げられ、19日には氏の辞任が報じられることとなります。新型コロナ感染症の流行が拡大する緊急事態宣言下でありながら、各地の街頭やメディアはスポーツの祭典に色塗られ、多くの人が波立つ心ですごした夏。それから数か月を経て、五輪は遠のく過去になりつつあり、氏に関しても五輪をめぐる不適切な出来事のひとつとして曖昧に記憶されようとしています。しかし、燃えひろがった情報の炎の中にいたのは、ひとりのアーティストであり、そして人です。彼はそれほどまでに焼かれる必要があったのでしょうか。 この出来事が、パンデミックのもとで起きた、誤情報を多く含む「インフォデミック」であったことを