結局、30分以上は待っただろうか。 11月25日のこと。場所は神宮球場内の関係者通路。大勢の報道陣が彼を待ち続けていた。なかには他の参加選手の結果を気にしている記者もいたし、暇をもてあまして携帯電話をいじっているカメラマンもいた。 今季最後となる第二次合同トライアウトで投球を終えた彼は、選手控え室に入ったきり出てこない。 15分くらいたった頃、扉越しから声が聞こえてきた。すべては聞き取れなかったが、断片で判断すれば、多分、こんな内容。 「(取材は)メシ、食べてから」 20歳の若者は、自分よりもはるかに年上の人間たちをやきもきさせていた。悪気はないのだろうが、やっぱりよくないと思った。なにせ、置かれている立場が以前とは明らかに違う。彼は「クビになった人」なのだ。「メシなんていつでも食えるんだから、早く出てきてくれよぉ」。これが、その場にいた大人たちの共通認識だったはずだ。 実力が認められれば
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