2016年8月に就任して以降、小池百合子東京都知事の言動は世間の関心を集めてきた。17年の都議選を見据えた新党の立ち上げも取り沙汰されるが、意外にも都知事本人の素性については、これまで語られてこなかった。 「新潮45」1月号に掲載の『小池百合子研究 父の業を背負いて』で、ノンフィクション作家の石井妙子氏が注目するのは、父・勇二郎の小池氏への影響だ。 *** 〈「芦屋生まれの芦屋育ち。父は石油を扱う貿易商で、何不自由なく豪邸に育ち、お嬢さん学校として知られる甲南女子中高に進学した」 そんな風に彼女の経歴は語られがちだが、内実は少し違ったようだ〉※〈〉は本文より引用、以下同。 と石井氏が書くとおり、昭和27年に生まれた小池氏が育った家は、いわゆる芦屋の豪邸街とは離れた場所にあった。父は“貿易商”以前に闇屋稼業などに携わっており、戦時中は右翼的な思想団体「スメラ塾」のメンバーとして活動