国連の人種差別撤廃委員会は、2014年8月29日に人種差別撤廃条約の実施状況に関する第7回・第8回・第9回日本政府報告書に対し、同年8月20日及び21日に行われた審査を踏まえ総括所見を発表した。同委員会は人種差別撤廃条約に基づき設置された国際機関であり、我が国は同条約の批准国として、委員会から勧告された点につき、改善に向けて努力する義務を負う立場にある。 総括所見で委員会は30項目に及び懸念を表明し、または勧告を行った。 とりわけヘイトスピーチについて、委員会は、集会の場やインターネットを含むメディアにおける広がりと人種主義的暴力や憎悪の扇動に懸念を表明し、適切な措置を求めるとともに、日本政府が、「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」等につき、処罰立法措置をとることを義務づける人種差別撤廃条約4条(a)(b)の留保を撤回し、差別禁止法を制定することを求めている