一般に「A級戦犯」は極東国際軍事裁判所条例の第5条A項が定める「平和に対する罪」で訴追され、有罪になった戦犯と理解されている。そこから、「平和に対する罪」でも起訴されたものの有罪になったのは同5条B項が定める「通例の戦争犯罪」のみであった松井石根は正確にはA級戦犯ではない、という論が出てくる。だが、「A級戦犯」と対になる「BC級戦犯」という用語をよくよく検討してみると、腑に落ちない点がある。 A級戦犯=5条A項で有罪になった者、であればBC級戦犯=5条B項ないし/かつ5条C項「人道に対する罪」で有罪になった者、となるはずである。だがこの3つの罪を2つにグループ分けするなら、「平和に対する罪」「人道に対する罪」という比較的新しい概念をセットにし、それを「通例の戦争犯罪」というより歴史のある概念と対比させるのが自然だ(「AC級戦犯」「B級戦犯)。また「人道に対する罪」を問うとすれば、まずは東京