冬の夜の熱いホットレモネードは、格別である。檸檬の香りが、そこはかとなく漂う中、蜂蜜の濃厚な甘さに檸檬の酸味が混じり合い至福のひとときとなる。 思えば、私が初めて蜂蜜を味わったのは、五十年以上前の小学生の時である。それまで私は、蜂蜜というものを味わったことがなかった。 友人がご馳走してくれるというので、家に行くと、家族には内緒のようで、蜂蜜の入った瓶を大事そうに持ってきた。その蜂蜜は白濁していたが、お湯を注いで飲むととても甘いと友人は言った。言われるままに飲んだが、期待が大きすぎたせいか、それほど美味しいものとは思わなかった。思えば、あれはホットレモネードとしての飲み方であったのだろうが、檸檬がなかったのである。 定年後、庭で養蜂を始めた。果たして素人がどの程度できるか分からなかったが、三年目になって、ようやく目鼻がついてきた。本格的に養蜂をやられている方から見れば、ここでのそれは、児戯に
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