この詩のヒミツは、「なぜ、宇宙のはてまで?」です。しかし、この詩は難解なようで、普通に読み進んでも、このヒミツにたどり着くのは容易ではありません。そのため、授業で取り上げられることもそう多くはないようですが、それでは、少しもったいない気がします。この詩の現実否定・現実逃避・孤独という主題は、詩に限らず、文学における重要なテーマです。しかも、それらの作品の表現には多くの共通点があり、それを押さえながら丁寧に読み進めていけば、それほど難解な詩ではなく、むしろ、生徒に多くのイマジネーションを喚起するすぐれた作品であることが理解されると思います。 ① 具体に寄り添う ―― 幻想(妄想)の根っこ まず、具体的に場面を考えていきましょう。難解な詩ほど、具体的なイメージがないと読み進められません。 夏草のしげる叢(くさむら)から ふはりふはりと天上さして昇りゆく風船よ 詩人の位置は限定できませんが、草地