二輪の荷車に持って出る物をすべて積み、一番よい布団で覆って縄で巻いた。もう夜半だった。せむしは仕舞に庭の穴があったところへ行き、じっと見下ろした。眼を閉じた後の顔が浮かび、眼の開いた顔が浮かび、着物を被せる前の顔のはっきりしない骸が浮かんだ。拳に中った肉と骨の感触は手に残っている。女の顔が浮かんだ。声は浮かばない。背中を激しく摩られた手の感触は強く残っている。とにかくあれは厭だったのだという気が背の裏あたりの宙に強く残っている。あの手は厭だった。だが俺の拳は厭などというものでなく激しく苦しかったろう。 苦しめたかったわけではないが、苦しんだならば、苦しかったろう。一瞬、女が苦しさの始まりのその瞬間に感じただろう恐ろしさが、自分の内に矢となって射し入り、どこぞを穿ってすぐに消えた。すまないという気はまるで起きないが、気の毒だという気がひたひたと湧いてきた。 せむしは穴をじっと見下ろしたまま、