序章 ベルリンで聴いたクレズマー・コンサート 第1章 あるピアニストの名前への覚え書き 第2章 「縫い目」と「胞子」で辿るクレズマー小史 第3章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(1) 第4章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(2) 第5章 第二次世界大戦中の上海で流れたクレズマー 第6章 「子牛」のまわりにいた人たち 第7章 ユダヤ人の笑いをクレズマーのなかに探る 終章 クレズマーが辿った長い旅路の果てに 『戦場のピアニスト』、「ウスクダラ」、「ドナ・ドナ」、「やんなっちゃった節」 、はたまたトニー谷? 「クレズマー」という名前には馴染みがなくても、『屋根の上のヴァイオリン弾き』の音楽と言えばお分かりだろう。あのシャガールが描いた結婚式には欠かせない東欧ユダヤ人の音楽である。(……)たとえば「ドナ・ドナ」みたいな感傷ばかりでなく、猥雑さがたっぷりで聖俗も渾然一