知人のT氏が、「部下が本を読まない」という悩みを吐露していた。 「いくら言っても、全く本を読まない。発表させたりすると、しぶしぶ目を通してくるんだけど、ほとんど頭に入ってないみたいだ。どうしたらいいのか……。部下の一人は「本で読むより、実際にやってみたほうが良くないですか?」と言うんだよね。」 T氏は溜息をついた。 友人のY氏が、それに応える。 「絶対に本を読まなきゃダメなんですか?」 「うーん、そう言われると絶対、ってわけじゃないけど、仕事できる人はかなりの割合で本を読んでるよね。」 「……多分、それ逆だと思います。」 「どういうこと?」 Y氏は少し間を置いてからT氏に言った。 「教育学の先生から聞いたんですけど、「本を読むから知識がついてできるようになる」のではなくて、実は「ある程度できるようなったから、本を読むようになる」らしいですよ。」 「……どういうこと?」 「要するに「本」って