◆ 葉酸摂取による胎児神経管閉鎖障害予防の現状 ◆ 葉酸は、ほうれん草のなかから見つかったビタミンB群の1つである。近年、諸外国の調査によって、妊娠初期の葉酸の十分な摂取が胎児神経管閉鎖障害発症予防に効果があることが明らかになり、葉酸摂取による胎児神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症など)予防の啓発活動が先進各国に広がった。 例えば、アメリカやイギリスでは葉酸摂取によって、胎児神経管閉鎖障害の発生は、この10年間で約10分の1に減少した。一方、日本では、葉酸摂取の重要性の啓発に対する効果が未だ見受けられず、この10年間で胎児神経管閉鎖障害の発生率は漸増し、アメリカの8倍、イギリスの6倍となっているのが現状である(図参照)。さらに、近年の日本産婦人科医会の先天異常モニタリング調査結果をみても、平成12年および13年における二分脊椎児の出産数は、それぞれ10000人中4.9人および5.9人と変