(平凡社STANDARD BOOKS・各1512円) 師弟で友人、存在が共鳴 文学と芸術は科学と相容(あいい)れないか。雪の研究で名を成した科学者ながら、科学随筆を書いた中谷宇吉郎(なかやうきちろう)の文章を読むと、それら二つが科学と融合していると思わざるを得ない。雪の結晶の随筆を読むと、科学的な解説の中に、雪の結晶の美が浮かび上がってくる。 中谷は、寺田寅彦の教え子であり、友人であった。寺田寅彦は夏目漱石の愛弟子であり、あの『吾輩は猫である』の登場人物であるヴァイオリンを弾く科学者、水島寒月のモデルになったと言われている。その寺田は、俳人でもあり、優れた科学随筆を数多く残した。一部では有名な科学随筆家ではあるが、今回取り上げる中谷は寺田よりも無名だろう。 この記事は有料記事です。 残り1160文字(全文1492文字)
![今週の本棚:内田麻理香・評 『中谷宇吉郎 雪を作る話』『寺田寅彦 科学者とあたま』 - 毎日新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/691af9e740b8b91182c23bb66ea6a66366ec1825/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2020%2F03%2F30%2F20200330hrc00m040015000q%2F9.jpg%3F2)