職場で事務のパートのMさんが、部長にチョコレートを渡そうとしてた。 「ああ、ありがとう。でもわし、会社ではそういうの受け取らないことにしとるんよ。せっかく用意してくれたのに、すまんの。気持ちだけいただいとくよ」 「気持ちはもらってくれるんですか? むしろ気持ちがメインなんですけど」 「やっぱりチョコだけもらっとくわ」 何だこの駆け引き。
澤井敦『死と死別の社会学』を読む。 死と死別の社会学―社会理論からの接近 (青弓社ライブラリー) 作者: 澤井敦出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2005/11/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (9件) を見る 手際のよい連続講義を聴講し終わったような読後感にひたれる本。死生学の切り口はいろいろあるけれども、社会理論の観点から見通しを与えるとこのような感じになるのだなとわかる。玄人は違う意見を持つかもしれないが、素人目には、ずいぶんバランスよく記述されているように思った。かなりよい見晴らしを得ることができたような気がする。 わかりやすくするには、死への態度をプレモダン/モダン/ポストモダンという三つの時代に対応させて三つの型を取り出すのはやはり有効であると思わされた。もちろん著者は図式を振り回しているわけではなくて、それぞれの時代に別の時代の特
非常に面白かった。著者は法哲学者で、本書は、とりわけ障害者やハンセン病者の生と、現代思想(副題にもあるように、C・シュミット、M・フーコー、G・アガンベンを軸としながら)とを切り結ぶという、非常な意欲を感じる力作。 近代日本とマイノリティの「生‐政治学」―シュミット・フーコー・アガンベンを中心に読む 作者: 小畑清剛出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2007/05メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (10件) を見るその中でも、第一章は、ダーウィン、プレッツらに潜む優生思想を浮かび上がらせ、市野川容孝、松原洋子、立岩真也らの立論をもとに、シュミット=アガンベンの主権権力理論と、障害者プロレス、「夜バナ」*1、青い芝の会などの思想とを接合しようと試みる。 アガンベンによれば、強制収容所の住人は、あたかも死刑囚のように、「ある意味では、気づかぬうちにホモ・サケル
今号の「文藝春秋」には、受賞作である川上未映子さんの『乳と卵』の全文とともに、芥川賞の選評も掲載されています。以下、恒例の抄録です(各選考委員の敬称は略させていただきます)。 池澤夏樹 「なぜか最近の候補作には、寝そうで寝ない男女の仲をゆるゆると書いた話が多い。今回で言えば津村さんの『カソウスキの行方』も中山さんの『空で歌う』も山崎さんの『カツラ美容室別室』もそうだった。自分の日常に近いと思って親近感で読む読者がいるのかもしれないが、小説というのはもっと仕掛けるものではないか。 川上未映子さんの『乳と卵』は仕掛けとたくらみに満ちたよい小説だった」 小川洋子 「『ワンちゃん』の日本語が、日本人が書いたのと変らない美しい文章である必要はないと思う。むしろある種のたどたどしさにより、今まで日本人に気付かれなかった日本語の秘密があぶり出される、という奇跡、かつてアゴタ・クリストフが『悪童日記』で示
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