書名だけだったら、ン匹目のドジョウと思い、スルーしてしまう本だった。 大金持ちが大勢住んでいる東京都港区なら、ベンツがカローラの6倍売れていたって不思議じゃない。そういった富裕層と地下鉄にも乗れないワーキングプア層を比べて、格差拡大を憂うだけの、お手軽格差社会本ではないの? 格差社会本がインフレ気味なだけに、そう誤解してもおかしくはない。 ところが本の帯には〈格差社会は本当に不幸なのか?〉と挑発的なフレーズがある。その煽りに乗せられて読んでみたところ、本書のスタンスはいわゆる格差社会批判本とは、だいぶ異なっていた。 〈私には、格差の拡大は、自由の拡大の結果に思える〉 〈ぶっちゃけた話、日本は(正確には日本の都市部では)、犯罪を除けば、なにをやってもいい感じの社会になった。(中略)好きなように生きていいので、頑張る人はあらゆる方法で頑張っていい。頑張れない人は頑張らなくていい。だから格差が拡