・強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論 強い者は最後まで生き残れない。他人と共生、協力できる者こそ生き残る。 近代ゲーム理論の大きな2つの成果であるナッシュ均衡と、ジョン・メイナード・スミスらの進化的安定戦略(ESS)。従来理論によれば、人間の利他的な協力行動は、いくつかの場面で生存に少し有利に働くもの、というレベルで理解されてきた。大部分は、利己的に自己の取り分の最大化を図る個体のゲームとして説明されてきた。 しかし、人類文明は、大々的な協力行動の成果であるように思われる。協力は社会の規範ともなっている。現代のゲーム理論には何らかの欠陥があるのではないか?と進化生物学者で「素数ゼミの謎」の著者はにらんだ。 「ゲーム理論の最大の落とし穴は、何よりもその目的がプレイヤーの最大利益を求めることにあるという点に尽きる。人間が社会を作ったそもそもの動機は「存続のための協力」だったが、そ